もう数年前になりますが、山形県 西川町大井沢にある民宿「朝日山の家」に泊まってきたときのことをリポートします。朝日山の家はフライフィッシング、登山、スキーの愛好家が集まる、このエリアでは非常に有名なペンションになります。
「朝日山の家」の読み方は、あさひ/やまのいえ と区切って読むのが正しいみたいです。
朝日山の家のアクセス
朝日山の家は山形県 西川町の大井沢地区という山形屈指の豪雪地帯にあります。大井沢は限界集落といっていいほどの過疎っぷりですが、寒河江川に沿って北は月山、南には朝日連峰を望む風景の美しさは圧巻。
山形自動車道 月山ICから15分ほど走ったところにあり、車以外でのアクセスは困難です。
公式Link:朝日山の家
TEL:0237-76-2031
いわゆる旅行サイトには登録しておらず、予約受付は電話、FAXのみ。昔は冬季でも宿泊できたらしいのですが、現在は4月〜11月のみ営業しているようです。
朝日山の家の設備
朝日山の家の宿泊部屋は、ベッドがあるだけの簡素なつくり(または畳の和室)です。テレビは食堂にしかありません。
ロフトの上にも寝ることができます。ドミトリーのような感じですが、他人と相部屋になることはありません。1人で宿泊する場合でも必ず一部屋を割り当ててもらえます。
各部屋にエアコンと灯油ストーブが備え付けられているので、暑さ、寒さを感じることはありません。
お手洗いは共用ですが男女別(洋式)。部屋、共用部ともにきれいに掃除されているので安心です。
食堂もこの通り清潔。入り口付近には食堂とは別のテーブルスペースがあり、夜な夜な酒盛りをしたり釣り人がお昼休憩をしたりしているそうです。
食堂は大きなガラス張りで周囲の景色がよく見えるので、晴れていれば出羽三山(羽黒山、月山、湯殿山)を眺めながら朝食を頂けます。
少し広めのお風呂も完備(男女別)されていますが、車で3分ほどのところに大井沢温泉という町営の温泉施設があり、そちらを利用している宿泊者が多いです。
入浴料はなんと300円で、朝日山の家に宿泊していると50円分の割引券がもらえます。朝7時から営業しているので朝風呂も可能。
公式Link:大井沢温泉館「ゆったり館」
一時期温泉がでなくなって営業を停止したことがあり、また最近も機械トラブルで1ヶ月ほど臨時休業があったみたいです。
万一この温泉が空いていなくても、月山周辺には300円で入れるかけ流し温泉がたくさんあるので、車さえあれば温泉にたどり着けないということはありません。
周辺の温泉については↓の記事でくわしく紹介しています。
朝日山の家のお食事
このお宿の一番のウリは何と言ってもお食事です。フジテレビの「食いしん坊!万才」に取材されたこともあるそうです。
素泊まりも可能ですが、周辺には何もないのでほとんどの宿泊客が2食付きで泊まっていると思います。
宿泊した日の夕食はコシアブラ、ウド、ゼンマイ、フキなど山菜を中心とした家庭料理でした。かなり大人向け。僕もお酒なしでは完食できないかも…。
小さいお子さん連れの場合は事前に女将さんに食事内容を相談したほうがいいかもしれません。
山形牛のすき焼きや豚肉のしゃぶしゃぶがメインになります。
肉に加えてお魚も。日によって焼き魚だったり揚げ魚だったり。
行者ニンニクとアサリの酒蒸しは最高に美味でした。
お酒は瓶ビール、日本酒、ワインがあります。公式HPには生ビールが記載されていますが現在は注文できません。
朝食は和定食。朝夜ともご飯や味噌汁はお代わり自由です。コーヒーや日本茶はセルフで飲み放題。夜明け前に出発する場合などは、朝食のかわりにおにぎりなどを作ってもらうことも可能です。
お値段は2食付きで6800円、素泊まりの場合は4500円。食事のクオリティを考えたら破格といっていいと思います。リピーターが多いのも納得。
朝日山の家の話
朝日山の家は、現在女将さん一人で切り盛りされています。この女将さんがとても中学生の孫がいるとは思えないほど若々しく可愛らしい方で、女将さんに会うためにわざわざ泊まりに来るファンもいるらしいです。
数年前急逝されたご主人は大井沢地区のキャッチアンドリリース制度など、フライフィッシングのルール作りに尽力された有名人。
その父も大井沢の長老的存在のマタギで、ご主人の姉夫婦は道の駅 西川の近くにある「蛙の子」という蕎麦屋さん(安くてめちゃくちゃ美味しいです)を経営しているなど、この周辺では有名な一族のようです。
大井沢の話
朝日山の家がある大井沢地区は人も少なく、本当にいい景色が広がっています。綺麗なフクジュソウやオオヤマザクラ、水芭蕉も至る所で見られます。
現在では釣り、登山、スキー以外の人が訪れることはほとんどないみたいですが、今後はカメラマンやロードバイクの愛好家がじわじわと増えていく可能性はあります。
大井沢温泉のすぐ近くには寒河江川沿いに広場のような場所があり、テントやキャンピングカーで泊まっている人がちらほら見受けられます。
寒河江川は運が良ければヤマセミにも会うことができるので、人気(ひとけ)のなさも相まって通な野鳥撮りのカメラマンが待機しているようです。
天気のいい日はオオタカもそこら中に飛んでいるのが観察できます。
交通量も少なく除雪のための路肩が広いのでロードバイクのサイクリングコースにも適しており、毎年6月にツール・ド・さくらんぼというイベントも開催されています。ただまだ知名度は低くイベント時以外はほとんど人がいないため、穴場のサイクリングスポットとなっています。
綺麗な風景の一方で、熊を仕留めた日に熊の血をすするという儀式や、安産祈願として熊の手で妊婦さんのお腹をさするという風習が残っていたり、また戦後アメリカ軍がやってきて何かを行っていた形跡(通称アメリカ橋)があったりと、ディープでミステリアスな逸話のある濃い田舎です。
冬虫夏草(とうちゅうかそう)もたくさんとれるらしく、朝日山の家でも食事中に話の流れで飲ませてもらえました。かなりお高いそうですが、女将さんに頼めば売ってくれるみたいです(数年前の話なので現在は不明)。
あくまでも風習として残っているだけで効能もよくわからない怪しいものですが、押し付けで買わされたりすることはないので安心してください。
まとめ
朝日山の家は常連さんも多いですが、新規のお一人様もたくさん来られているようです。大人向けではありますが食事もおいしいですし、近くに温泉もあるのでとても快適です。月山周辺で遊ぶ際にはぜひ宿泊を検討してみてください。