Bluetoothのイヤホンの快適さに味をしめ、ついにSonyのハイエンドワイヤレスヘッドホン「MDR-1000X」を入手してしまったのでレビューします。
既に各所で絶賛されている通り、Bluetooth対応、Boseと肩を並べるノイズキャンセリング、高音質の3点を併せ持ったハイエンドヘッドホンのベンチマークといえる仕上がりになっています。
Sony MDR-1000Xの概要
- Bluetoothによる無線接続が可能
- ノイズキャンセリング機能
- 4時間の充電で20時間利用可能
- 有線接続ならハイレゾ対応、電源OFFでも利用可能
- LDACのような高音質コーデックにも対応
コードレスの取り回しの良さ
iPhone 7でイヤホンジャックが廃止されたこともあり、急激に需要が高まっているBluetooth対応のヘッドホン。実際に利用してみると、コードで繋がっていないことがこんなにも快適なのかと驚かされます。
ヘッドホンを使用していないときも、余計なコードがなく収納が楽なので整理整頓が行き届いているような雰囲気がでます。
意外に小さく、FIT感も◯
パッドのつけ心地もよく、アーム部分を伸ばすことによってキャップやメガネなどを付けたままでもしっかりフィットさせることができます。
折りたたみ機能がついており持ち運びも楽々。ケースにはヘッドホンを収納する時の形が印刷された紙が敷いてあり、折りたたみ方をど忘れした場合でも安心です。
圧巻のノイズキャンセリング機能
デジタルノイズキャンセリング
MDR-1000Xの強みは何と言ってもこのノイズキャンセリング機能です。
MDR-1000Xは、物理的に外部の音をシャットアウトするのではなく、外部のマイクで感知した音に対して逆位相の波を送ることで「雑音をかき消す」デジタルノイズキャンセリングが採用されています。
音源再生時にはほぼ周囲の音が聞こえなくなるため、周りの環境を気にせずに音楽に集中することができます。雑音がカットされることで体感の音質にも大きな影響をもたらしますし、音量を上げる必要がなくなるので耳にも優しく、常識的な音量で聴くかぎり音漏れの心配もありません。
一方、音が聞こえないことにより同居人との意思疎通トラブルに発展する可能性もあるので、使用する状況には注意が必要になります。また外で歩きながら使用する際には必ずNCをオフにしておくことを推奨。
クイックアテンションモード
MDR-1000Xの右耳パッドはセンサー式になっており、外からパッドを手のひらで覆うことで「クイックアテンションモード」に切り替わります。
クイックアテンションモードでは、音楽再生のボリュームが下がると共にノイズキャンセリング機能がオフになり外部の音が聞こえるようになります。
ヘッドホンをずらすことなく外部の音が聞こえるようになるのは、実際に使ってみると非常に快適です。
アンビエントモード
MDR-1000Xのノイズキャンセリング機能は非常に強力なので、外出時などに利用するのは少々危険。
そんなときのためにNC機能をオフにできる便利なモードも用意されています。「アンビエントモード」では、ノイズキャンセリングを完全にオフにしたり、あるいは駅のアナウンスなど必要な情報のみを遮断しないようにしたり、NC機能の効き具合を2通りから選択することが可能。
タッチパッドによる操作
上記の通り、MDR-1000Xの右耳パッドはタッチセンサーになっているので、これを利用することでプレイヤー側を操作することなく音源をコントロールできます。
左右のスワイプで選曲、上下スワイプで音量の調整、ダブルタップで再生、停止が可能。最近は5インチを超える大型のスマホが普及してきたこともあり、こういった大型のスマホをいちいちポケットから出さずに操作できるのは意外と便利です。
MDR-1000Xは有線でも利用可能
MDR-1000Xは有線接続でも音楽を聴くことが可能。Bluetoothの高音質コーデック「LDAC」はあくまでもハイレゾ”相当”の音質ですが、有線接続であればハイレゾ音源にも対応しています。
また有線接続の場合はバッテリーが0(電源オフの状態)でも使えますが、電源をオンにしないとノイズキャンセリング機能は利用できません。
ヘッドホンケーブルと充電用のmicro-USBケーブル、無線機器が利用できない航空機内で使うプラグも付属しているので、別途購入する必要はありません。
MDR-1000Xの音質は?
肝心の音質について。
- 僕の利用環境
- XLDのエラー訂正を利用してリッピングしたALAC(Apple Lossless)音源
- MacのiTunesで再生
- コーデックはaptX
Sonyの音はとにかくクセがなく、バランスの良い音を聴かせてくれるのであらゆるジャンルにマッチします(反面、退屈に感じる人もいると思いますが…)。
同じく無線、ノイズキャンセリング対応のハイエンドヘッドホン Bose QuietComfort 35 と比較されることが多いですが、低音が強調された「Boseの音」が好きという人を除けば、こちらのMDR-1000Xの方がファーストチョイスで間違いないと思います。
上記の通りノイズキャンセリング機能が優秀なので、今まで聴こえなかった音が聴こえてくる感覚を味わうことが可能。バラードなど、鳴っている音の数が少ない静かな曲とノイズキャンセリングは相性が抜群です。
ただし、今まで何百回聴いたか分からないお気に入りの曲のボーカルやバイオリンのビブラートに背筋がゾゾゾっとする、というような感覚はなく、価格を考えると音質単体に関しては期待値を下回ったというのが正直な感想。
MDR-1000Xはあくまでも、「ノイズキャンセリング+Bluetooth対応のヘッドホンという狭い世界の中での高音質」だと感じました。音質だけを追求するならば、同じ価格でゼンハイザーあたりの開放型ヘッドホンとアンプを購入した方が満足度は高いはず。
MDR-1000Xはハイレゾ”相当”のデータを伝達できる高音質コーデック※「LDAC」に対応しているので、WalkmanやXperia(Z4以降)などLDAC対応機種(現時点ではSony製品のみ)でハイレゾ音源を聴けばまた印象は変わるかもしれません。
- ※MDR-1000Xの対応コーデック
- AAC(iPhoneなどApple製品が採用)
- aptX(主にandroid機が採用)
- LDAC(Sonyのプレイヤーが採用)
CD相当の音質
ハイレゾ相当の音質
まとめ
音質については少し辛口になりましたが(ついでにいうと、見た目もあまり良くない)、ノイズキャンセリングやBluetooth接続の身軽さなどトータルで見ると非常に満足度が高く、買ってよかったと思えるヘッドホンです。
改めて自分の音楽ライブラリをじっくり聴きたくなってしまい、睡眠時間が削られる毎日を送っており、Walkmanまで欲しくなってしまったというのがその証拠。
MDR-1000Xは、今後も新しいBluetoothヘッドホンが登場する度に引き合いに出される1つのベンチマークを確立したことは間違いありません。高音質な無線接続対応ヘッドホンとしては、まず購入を検討するべき製品です。