【南アルプス】赤石岳,聖岳,茶臼岳,光岳の登山口への行き方 まとめ

送迎バス

先日南アルプスの聖岳に登頂してきたのですが、簡単な登山道とは裏腹にとにかくアプローチが大変で苦労したので情報をまとめておきます。

これから南アルプスの南部、光岳、茶臼岳、聖岳、赤石岳などに出かける方には参考になると思います。

南アルプス南部の登山口の概要

南アルプス南部の主な登山口としては、長野県側の便ヶ島(聖光小屋)、静岡県側の畑薙(はたなぎ)大吊橋、聖岳登山口、赤石岳登山口(椹島ロッヂ)が挙げられます。

南アルプス南部の登山口 簡易マップ

静岡県側の登山口は全てマイカー進入不可の林道の中にあるため、アプローチするには送迎バスを利用する必要があります。

林道ゲートから畑薙大吊橋までは徒歩40分ほどなので歩くことも可能ですが、聖岳登山口までは4時間、椹島ロッヂまでは5時間かかるため歩くのは現実的ではありません。

この送迎バスの乗車条件や運行時間が非常にややこしいため、ただでさえ僻地にあるこれらの登山口へのアプローチを難しくしています。

長野県側のアプローチ

便ヶ島(聖光小屋)

数年前まではこの便ヶ島が唯一マイカーでアプローチ可能な登山口だったのですが、2015年に道が崩落してしまい、マイカー、徒歩ともに進入禁止になってしまいました。

2017年以降は、5月の中旬より芝沢ゲート(北又渡発電所付近)までの通行が許可され、易老渡(いろうど)まで徒歩90分程度の場所に50台分の駐車場が確保されることが発表されました。易老渡から便ヶ島まではさらに徒歩40分ほどかかります。

静岡県側のアプローチ

静岡県側からのアプローチは、上述のように送迎バスを利用する必要があります。この送迎バスには、井川村が運行するバス、東海フォレストが運行するバスの二種類あります。

送迎バスに乗車するには指定された山小屋への宿泊が必要

送迎バスは無料ですが、それぞれ指定された山小屋に1泊することが乗車の条件になります。

送迎バス乗車条件に含まれる山小屋
井川村東海フォレスト
聖平小屋椹島登山小屋
茶臼小屋二軒小屋
横窪沢小屋千枚小屋
白樺荘赤石小屋
その他井川村の指定旅館、民宿荒川小屋
百閒洞の家
熊の平小屋
赤石岳避難小屋
中岳避難小屋
高山裏避難小屋
小河内岳避難小屋
椹島ロッヂ

主に赤石岳周辺の山小屋が東海フォレストの管轄、聖岳以南の山小屋は井川村の管轄になります。

テント泊は対象外

テント泊は条件に含まれません。これらのバスに乗るには必ずどこかで山小屋に1泊する必要があります。

山小屋料金を払ってテント泊をする、というのはOKです。山小屋料金にバス代が含まれていると解釈しておくといいでしょう。駐車場から聖岳登山口、椹島ロッヂまでは1時間の悪路なので、宿泊+送迎費用と考えれば十分安いと思います。

バス停がある駐車場

林道の近くにある駐車場に車を停めて送迎バスに乗り換える、というのが基本になります。駐車場までは、東名高速 静岡ICから2時間半、新東名 新静岡ICから2時間。道はすれ違い困難なクネクネ道が続くので運転が疲れます。

バスに乗り換えができる駐車場は以下のとおり。

林道ゲートのすぐ手前にある沼平駐車場は井川村のバスのみ停車します。東海フォレストのバスに乗るには、畑薙第一ダム(夏季は臨時駐車場)に車を停める必要があります。

夏季臨時駐車場

前乗りして白樺荘に泊まっていれば、白樺荘に車を置いたままバスに乗ることができます。

白樺荘の個室

沼平駐車場から畑薙大吊橋(茶臼岳、光岳の登山口)までは徒歩40分ほどなので、この登山口までならば徒歩でアプローチすることも可能です。

井川村のバス

井川村のバスは提携した山小屋を予約してから乗車するのが基本になります。予約なしでも上で山小屋に泊まります、と伝えれば乗車することは可能ですが、バスが満車の場合は乗れないこともあるので飛び込みで行くのは危険。予約をせずに乗るなら東海フォレストのバスを選択したほうが良いです。

井川村が管理する山小屋は井川村観光協会から電話予約が可能です。宿を予約した段階でバスの席も確保されます。

井川村のバスは行き、帰りともに本数が1日2本しかなく、時間がシビアになります。時間の融通がきくのは東海フォレストのバスになります。

送迎バス時刻表

ただし井川村のバスは停車場が多く、沼平駐車場、畑薙大吊橋で乗り降りできるのはこちらのバスだけです。また東海フォレストのバスは聖岳登山口から下山方面(駐車場方面)へは乗車できないため、スムーズに帰路につけるのは井川村のバスになります。

南アルプス南部の山小屋では、宿泊する(テント泊も含む)たびに登山行程を伝えることになっていて、衛星電話によりバスに情報が伝わり席が予約される仕組みになっています。下山時に山小屋に泊まってきたとウソをついてバスに乗ることはできません。ルールはちゃんと守りましょう。

東海フォレストのバス

東海フォレストのバスは本数が多く、10人以下のグループであれば予約なしでも乗車することが可能です。

東海フォレストのバスでは乗車時に3000円のチケットを購入し、提携した山小屋で差額の料金を支払う仕組みになっています。下山時は山小屋の領収書と引き換えに乗車が認められます。

上記の通り、聖岳登山口では東海フォレストの下山方面(駐車場方面)のバスに乗車することができません。上り方面のバス、または徒歩(1時間)で椹島ロッヂまで戻ってからバスに乗車して駐車場へ戻る、という手順を踏む必要があります。

バスの停車場 まとめ

井川村のバス東海フォレストのバス
白樺荘×
畑薙第一ダム
沼平駐車場(林道ゲート前)×
畑薙大吊橋(茶臼岳登山口)×
聖岳登山口
椹島ロッヂ(赤石岳登山口)×

下山時の時刻表に注意

注意するべきなのは下山時の時刻表です。井川村、東海フォレストともにバスの時間が決められているので、乗りそびれると大変なことになります。下調べをしっかりして、時間に余裕をもって下山する必要があります。

まとめ

南アルプス南部を歩くにはしっかりとした下調べ、登山ルートの構築が必要になりますが、山小屋の設備は非常に快適なので、本格的な縦走を始めるのに最適です。

南アルプス南部では、アプローチが大変→どうせなら3〜4日は歩きたい→登山仲間と日程があわない→仕方なく一人で、ということで、老若男女ソロの登山者が多い印象です。ただほとんどのエリアで携帯電話が圏外で外部との連絡が大変なので、普段以上の注意が必要です。