貯金が800万円あれば世界のTOP10%に入るお金持ちらしい

貧困撲滅のために活動するNGO団体「オックスファム・インターナショナル」が、米Forbesやクレディ・スイスのデータを元に計算した貧富の格差についての調査結果が話題となっています。その内容は、お金持ち上位1%の資産総額が残りの99%の人の資産総額に等しい、さらにお金持ち上位62人の資産総額が、下位35億人の資産総額と等しい、という衝撃的な内容となっています。

The richest 1% now has as much wealth as the rest of the world combined, according to Oxfam.

お金持ちの上位1%に入るにはいくら必要?

英BBCや米CNN、アルジャジーラなどが今回のオックスファムのレポートについて報じています。中でもBBCはより具体的な数字を示してくれています。

It takes cash and assets worth $68,800 (£48,300) to get into the top 10%, and $760,000 (£533,000) to be in the 1%. That means that if you own an average house in London without a mortgage, you are probably in the 1%.

BBCによると、資産が76万ドル(9120万円 120円/$)あれば上位1%に入ることができるそうです。また資産が6万8800ドル(825万円 120円/$)あれば上位10%に入ることができます。

さらっと書いてありますが、上位1%の具体例として挙げられているのが、ロンドンの平均的な住宅をローン無しで保有している、ということ。ロンドンの家ってそんなに高いのかと思って調べてみると、2014年のデータではロンドンの住宅の平均価格はなんと45万9000ポンド(約7573万円 165円/£)(注1)!

ロンドンにはOne Hyde Parkに代表される100億円!を超えるようなケタ違いの高級住宅がある(注2)ため、平均を押し上げているようです。

日本においても、持ち家の住宅ローンを払い終えている人の多くは上位10%に入ることができるでしょう。また2014年のデータになりますが、日本では年収750万円以上だと貯金額の中央値が800万円を超えてくるようです(注3)。お財布という尺度で計った世界ランクでは7億位以内に入ることができるということになりますね。

62人のスーパーリッチとは?

資本主義で生じる格差を表す際に上記のような割合を用いた比較はよく見かけるのですが、今回のレポートで衝撃的なのは、より具体的なたった62人の超お金持ち、という表現です。

Oxfam also calculated that the richest 62 people in the world had as much wealth as the poorest half of the global population.

冒頭にも書きましたが、今回の調査によれば、なんとお金持ちの上位62人の資産総額が、下位35億人の資産総額と等しいというのです。62人の資産総額を合わせると、1兆7600億ドル(約211兆円 120円/$)にも及び、この数字は日本の国家予算(注4)の2倍以上にもなります。

この上位62人がどんな人物かは、ForbesのWebサイトで確認できます。国籍の内訳は、

アメリカ人が63人(62位が2人いるので)の内、約半数と圧倒。日本ではユニクロの柳井正氏が41位にランクイン。資産総額は202億ドル(約2兆4000億円 120円/$)となっています。

格差は広がっている

Oxfam said wealth was being concentrated in the hands of increasingly fewer people, while the world’s poorest continued to get poorer. In 2010 some 388 people owned as much as the world’s poorest 50 percent.

アルジャジーラによると、2010年の時点ではお金持ち上位388人の資産総額と下位50%の資産総額が等しかったということで、富がより少数の人物に集中していることを指摘しています。まあ388人でも相当少ないですけど。

The UK-based charity on Monday also said tax havens were helping corporations and individuals to stash away about $7.6 trillion, depriving governments of $190bn in tax revenue every year.

こういった格差をより広げる要因の一つがタックスヘイブンの存在です。お金持ちが課税を回避している資産の総額は毎年7.6兆ドル(912兆円 120円/$)。これにより政府の税収が1900億ドル(約23兆円 120円/$)も減ってしまい、所得の再分配がうまく成されていないというのです。

今回の調査結果に対する反論もあります

一方自由な市場経済を支持するシンクタンクなどは、今回の調査結果に対して疑問を呈しています。

“More meaningful measures show greater equality. Those in the middle and bottom of the world income distribution have all got pay rises of around 40% between 1988-2008. Global inequality of life expectancy and height are narrowing too—showing better nutrition and better healthcare where it matters most.”

“What we should care about is the welfare of the poor, not the wealth of the rich,”

The Adam Smith Instituteによれば、1988年から2008年の20年間で貧困層や中間層の所得は4割増えており、期待寿命や実際の寿命の長さの不平等は是正されてきているといいます。栄養状態や健康管理こそが重要な要素で、貧困問題の解決のために必要なのは金持ちにケチを付けることではなく、貧困層への福祉の拡充だというのです。

また世界の人口にはもちろん子供のように所得のない人もカウントされているわけですから、オックスファムの発表は誤解を招くような表現だというわけです。

雑記

今回の調査結果が実態をうまく表現しているかどうかは別として、たった62人の人物(しかも半分がアメリカ人)が200兆円以上の資産を支配している、というのは改めてすごい話ですね。オックスファムは、今後も格差は広がっていくのでは?、と危惧しており、それを食い止めるような行動をとるよう、政治家やビジネスリーダーに働きかけています。

お金が全てではありませんが、上で紹介したとおり800万円ほどの資産があればそれだけで世界で10%のお金持ち層に入れるそうなので、とりあえずそこを目指して資産形成に励むというのはどうでしょう?